皮膚の構成成分
セラミドやヒアルロン酸などスキンケア商品に配合されている成分は、実は皮膚の中にも存在しています。成分の役割を知ってスキンケアにお役立てください。
〇セラミド
角質間細胞の一つで、基底層で生まれた表皮細胞が角化する過程で作られます。角質細胞と角質細胞との間にあって、水の層と油の層が交互に層状に並んでいるラメラ構造で、水分を保持する働きがあります。
セラミドは6タイプあり、特にセラミド2は水分を保持し、セラミド1にはモノの出入りを抑えるバリア機能があります。
セラミドの量が減ると角質細胞が剥がれ落ちて、そこから水分が蒸発しやすくなったり、肌が刺激を受けやすくなったりします。
セラミドは加齢や気候、環境の変化等で減少しますが、洗顔のし過ぎ、ゴシゴシ洗いや洗浄力の強すぎる洗顔剤などにも影響を受けます。
〇皮脂
真皮に有る皮脂腺で作られる脂です。皮脂腺から分泌された皮脂は、まず毛包の中に流れ、毛を伝わって皮膚の表面に出てきます。その量は気温に影響され、暑いと多くなり、寒いと少なくなります。皮脂は汗腺で作られる汗と空気中の常在菌が肌の上でまじりあって皮膚の表面に薄い膜を作ります。この膜を皮脂膜といいます。皮脂膜はPHバランスの取れた弱酸性で天然のクリームと呼ばれ、水分の蒸発を防ぎ肌に潤いと滑らかさを与えます。さらに、外から受ける刺激から肌を守り、皮膚表面の細菌の繁殖を抑える働きもあります。
〇天然保湿因子(NMF)
角質細胞の中にあり、人体が元々備えている保湿成分です。表皮細胞が角化する過程で、自らの細胞の中に作りだされます。NMFの主な成分はアミノ酸、乳酸、尿素、PCA(ピロリドンカルボン酸)などの水溶性物質でいずれも水分を抱え込む性質があります。
角化が順調でないと、NMFが十分に作れないため、角質層は水分を保持することができず、肌は乾燥し始めます。NMFの保湿力は湿度が下がると低下します。つまり、冬の乾燥した空気の中では、保湿力を発揮できないのです。
NMFの成分は水になじむ性質から、保湿クリームよく配合されています。
〇コラーゲン(膠原線維)
タンパク質の一種で、真皮の重量の約70%を占める主成分です。皮膚の丈夫さはコラーゲン線維が縦横に張り巡らされていることによります。コラーゲン線維は線維芽細胞で作られ、古くなったものは酵素などで分解されます。しかし、40代以降になると新しく作られることはほとんどありません。さらに、紫外線や活性酸素、加齢などの影響でコラーゲンは古くなったり、量が減ったりします。これがシワ、タルミの原因です。
〇エラスチン(弾力細胞)
エラスチンも線維芽細胞で作られるたんぱく質の繊維です。真皮の重量のわずか2%しかありませんが、コラーゲン線維の間を縫うように走って、ゴムのようにコラーゲン線維の束をまとめて、引き締めています。肌に弾力があるのはコラーゲン線維をエラスチン線維が支えていることによります。加齢によるタルミはエラスチン線維の構造の変化によるものです。また、紫外線の影響でエラスチン線維の変化がおこり、深いしわやタルミができます。
〇ヒアルロン酸
真皮に有るムコ多糖類と呼ばれるネバネバしたゼリー状の物質です。コラーゲンとエラスチンの間を埋め尽くすようにあり、肌の弾力に大きくかかわっています。水分子を結び付ける性質があり、ヒアルロン酸1gで水6リットルを保持する力があります。この水分保持力が乾燥や肌荒れから皮膚を守ります。ヒアルロン酸は腕や脚の関節の間にも存在し、骨と骨の滑りを良くする役割もあります。人体になくてはならないものですが、年齢とともに生産量は減少し、乾燥、シワ、タルミの原因になります。
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村山
参考文献
現役皮膚科医による正しいケア・対策がわかる スキンケア大辞典(友利新監修 毎日コミュニケーションズ)